
FXの自動売買(EA)を運用する際、ロットサイズ(取引数量)、ストップロス(損切り)、テイクプロフィット(利確)の設定は、利益を最大化し、リスクを管理するために重要な要素です。これらの設定が適切でないと、せっかくの自動売買も損失を拡大させてしまう可能性があります。
本記事では、EAの基本設定の考え方や具体的な設定方法について詳しく解説します。
1. ロットサイズの決め方
ロットサイズとは、1回の取引で売買する通貨量のことです。取引の規模が大きくなるほど、リスクとリターンの両方が大きくなります。
1.1 ロットサイズの基本
ロットサイズは以下のように定義されます。
ロット数 | 通貨量(1ロット = 10万通貨) |
---|---|
1.0ロット | 100,000通貨 |
0.1ロット | 10,000通貨 |
0.01ロット | 1,000通貨 |
国内FX業者では、通常0.01ロット(1,000通貨)から取引が可能です。
1.2 資金管理に基づいたロットサイズの計算
ロットサイズを決める際は、総資金の一定割合をリスクとして設定するのが基本です。
例えば、以下のルールを使ってロットサイズを決定できます。
1回のトレードでリスクを資金の1%に抑えるルール
• 証拠金:100万円
• 許容リスク:1%(1万円)
• ストップロス(損切り幅):50pips
この場合、適切なロットサイズは以下の計算で求められます。
ロットサイズ = リスク金額 ÷ (ストップロス × 1pipsあたりの価値)
USD/JPY(1pips = 100円)の場合、
10,000 ÷ (50 × 100)= 0.2(ロット)
したがって、この場合の適切なロットサイズは0.2ロットとなります。
2. ストップロス(損切り)の決め方
ストップロス(SL)は、一定の損失が出たときに自動的にポジションを決済する設定です。適切なストップロスを設定することで、リスクを限定し、大きな損失を防ぐことができます。
2.1 ストップロスの基本的な考え方
ストップロスは、以下のいずれかの方法で設定することが一般的です。
1. 資金管理に基づくストップロス
• 例:1回のトレードの損失を資金の1%以内にする。
2. テクニカル分析に基づくストップロス
• 例:直近の安値・高値、移動平均線の下(または上)にストップを置く。
3. ボラティリティ(変動率)に基づくストップロス
• 例:ATR(平均真の値)を基にストップロスを設定。
2.2 ストップロスの適切な設定例
スキャルピングEA
• ストップロス:5〜20pips
• 小さな値動きを狙うため、ストップを狭くする。
デイトレードEA
• ストップロス:30〜50pips
• 1日で決済するため、適度な値幅を持たせる。
スイングトレードEA
• ストップロス:100〜200pips
• 長期間ポジションを持つため、ストップを広めに設定する。
3. テイクプロフィット(利確)の決め方
テイクプロフィット(TP)は、一定の利益が出たときに自動的に決済する設定です。適切な利確設定をすることで、利益を確定しやすくなり、無駄な損失を減らせます。
3.1 テイクプロフィットの基本
テイクプロフィットは、ストップロスとセットで考えるのが一般的です。
• リスクリワード比(RR比)1:1以上が基本
• 例)ストップロス50pipsの場合、テイクプロフィットも50pips以上。
• トレードのタイプによって適切なTPを設定
• 短期トレードなら狭め、長期トレードなら広めに。
3.2 テイクプロフィットの適切な設定例
スキャルピングEA
• テイクプロフィット:10〜30pips
• 小さな値幅を狙うため、ストップロスよりやや広めに設定。
デイトレードEA
• テイクプロフィット:50〜100pips
• 1日で完結する範囲で設定。
スイングトレードEA
• テイクプロフィット:200pips以上
• 長期間ポジションを持つため、広めに設定。
4. ストップロスとテイクプロフィットのバランス
ストップロスとテイクプロフィットの比率(リスクリワード比)を考えることが重要です。
RR比 | 設定例 | 特徴 |
---|---|---|
1:1 | SL 50pips / TP 50pips | バランスが取れた設定 |
1:2 | SL 50pips / TP 100pips | 勝率は下がるが、利益を伸ばしやすい |
1:0.5 | SL 50pips / TP 25pips | 勝率は高いが、大きな利益が出にくい |
一般的には、RR比1:1以上を目指すのが理想的。
5. まとめ
EAの基本設定である「ロットサイズ・ストップロス・テイクプロフィット」は、資金管理の要となる。
✅ ロットサイズは資金に応じて決め、1回のリスクを1%以下に抑えるのが基本
✅ ストップロスは、資金管理・テクニカル分析・ボラティリティに基づいて設定する
✅ テイクプロフィットは、リスクリワード比1:1以上を目安にする
✅ トレードのスタイル(スキャルピング・デイトレ・スイング)に合わせた設定が重要
適切な設定を行い、安定したEA運用を目指そう!