1. 関税とは？
関税（Tariff）とは、輸入品に対して課される税金 のことです。政府が外国からの輸入品に一定の税率を適用し、国内の産業を守ったり、税収を確保したりする目的で設定されます。
関税の基本ポイント
- 輸入品にかかる税金（輸入関税が一般的）
- 国内産業を保護する役割
- 政府の財源確保にも利用される
- 関税率は国や品目ごとに異なる
関税は各国の経済政策の一環として機能し、国際貿易のルールを決める重要な要素の一つです。
2. 関税の目的
関税は単なる税収の手段ではなく、様々な目的で設定されます。
① 国内産業の保護
・安い外国製品が大量に流入すると、国内の企業が競争に負けてしまう可能性がある
・関税をかけることで、国内産業を守り、雇用を維持する
・特に新興国では、成長中の産業を守るために関税を利用することが多い
例：日本の農産物関税
- 日本では農業を守るために、輸入米や牛肉に高い関税がかけられている
- これにより、国内農家が安い外国産と価格競争しなくて済む
② 政府の税収確保
・関税は国家の収入源の一つとなる
・輸入量が多い国ほど、関税収入が大きくなる
・発展途上国では、関税収入が国家予算の大部分を占めることもある
例：アメリカの関税政策
- 2018年、アメリカは中国製品に高い関税を課し、税収を増やしつつ国内産業を守る政策を実施
③ 貿易政策・外交戦略
・関税は貿易摩擦の調整手段としても使われる
・ 特定の国に対して関税を上げることで、貿易不均衡を是正する狙いもある
・外交カードとして利用されることも多い
例：米中貿易戦争
- アメリカが中国製品に高関税を課したことに対し、中国も報復関税を導入
- これにより両国の貿易が大きく影響を受けた
3. 関税の種類
関税にはさまざまな種類があります。
① 従価税（じゅうかぜい）
輸入品の価格に対して一定の割合で課税される関税
価格が高いほど関税額も高くなる
計算がシンプルで、多くの国で採用されている
例：関税率10%の場合
- 100万円の輸入品 → 10万円の関税
- 200万円の輸入品 → 20万円の関税
② 従量税（じゅうりょうぜい）
輸入品の数量や重量に応じて課税される関税
価格変動の影響を受けにくい
農産物や石油製品などに多い
例：1kgあたり100円の関税がかかる場合
- 10kgの輸入品 → 1,000円の関税
- 100kgの輸入品 → 10,000円の関税
③ 特恵関税（とっけいかんぜい）
・発展途上国からの輸入品に対して、通常より低い関税を適用する制度
・ 途上国の経済発展を支援するために設定されている
例：日本のEPA（経済連携協定）
- ASEAN諸国（タイ・ベトナムなど）との協定により、関税が軽減される
- 途上国からの輸入を促進し、貿易関係を強化
④ 報復関税（ほうふくかんぜい）
・他国の関税政策に対抗して導入される関税
・貿易摩擦が発生する原因となることもある
例：アメリカとEUの関税対立
- アメリカが鉄鋼に高関税をかけた際、EUが同様の報復関税を実施
4. 関税の影響（メリット・デメリット）
関税には、国内産業を守る効果がある一方で、デメリットもあります。
メリット
・国内企業の競争力を維持できる
・雇用の確保につながる
・政府の税収が増える
デメリット
・輸入品の価格が高くなり、消費者の負担が増える
・貿易相手国との関係が悪化する可能性
・ 関税が高すぎると、国内企業の成長を妨げることも
例：日本の自動車関税と米国の不満
- 日本は米国の自動車に低い関税を適用しているが、米国は日本の車に対して関税を課す
- これが貿易交渉の争点になったこともある
5. まとめ｜関税は貿易・経済に大きな影響を与える！
✅ 関税は「輸入品にかかる税金」であり、国内産業保護や税収確保の目的がある
✅ 従価税・従量税・特恵関税・報復関税など、種類によって役割が異なる
✅ 関税が高いと消費者の負担が増える一方で、国内企業の保護につながる
✅ 関税は貿易政策の重要な手段であり、国際関係にも影響を与える
関税は、私たちの生活にも関係する重要な経済政策の一つです。ニュースで「関税問題」が話題になる理由を理解し、経済の流れをつかんでいきましょう！
